羽咋市は中能登丘陵と石動・宝達山地に囲まれています。広がる景色は山というより丘のよう。イノシシは足が短く、積雪30㎝以上が70日以上続くと生息できないと言われています。能登の山々ではそれほど雪が積もるのは一部だけで、一年中野山を駆け巡り、豊かな自然の中ですくすくと育ちます。グルメなイノシシたちは季節の旬なものを求めて里山を巡ります。最近では春の訪れを知らせてくれる筍のおすそ分けがすっかりなくなってしまいました。筍の先っぽが地面に出る前にほとんど食べられてしまうそうです。能登のイノシシにどのような生態があるのか調べていくことで、もっとおいしい調理法や革の活用法がわかるかもしれません。
イノシシは、食肉処理業の許可(石川県指令能中保第5159号)を取った衛生的な施設で処理し、安全で安心な食材として提供していきます。
里山にイノシシが現れた!
捕獲から食肉加工まで
のとししは「石川県野生獣肉の衛生管理及び品質確保に関するガイドライン(PDF)」に則って安全に処理を行っています。
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1捕獲
イノシシが捕獲され、処理を行わないときは施設に連絡が入ります。電気のやりを使い、内臓を傷つけないようにイノシシを仕留めます。猟期中は職員が銃で仕留める場合もあります。
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2搬送
鮮度を保つため、現地ですぐに血抜きをしてから、高圧洗浄機で泥などを落とします。イノシシを専用のトレーに乗せ、獣肉処理施設まで搬送します。
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3前処理
施設に到着したら、もう一度きれいに洗います。イノシシをつるして余計な部位を除きます。品質を保つためにも、前処理は仕留めてから1時間以内のスピード重視の作業です。
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4皮はぎ・洗浄
まずは冷蔵庫でイノシシを冷やし、血抜きもしっかりされた状態で皮をはぎます。はいだ後は、電解水(酸性の水)で洗浄し、しっかりと殺菌をします。
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5少し乾燥
1℃設定の冷蔵庫で2日間程度保存(現場では「寝かせる」と言っています)します。余分な水分を飛ばすことで、後の作業がスムーズになったり、お肉の味が凝縮されると考えています。
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6部位分け
加工台に移します。骨を除いたり、トリミング(筋引き・整形)をして、モモ肉・ロース肉などの各部位に切り分けていきます。品質や見た目にかかわる重要な作業です。
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7金属検出機検査
1mm以下の鉛が検出できる金属検出機を取り入れています。捕獲の前に鳥撃ち用の弾(通称バラ弾)で撃たれていても、ここで検出します。安全はおいしさのベースにあると考えています。
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8真空パック
各部位ごとに真空パックしていきます。豚の場合で硬直が80%解けるのに5日かかります。おいしくいただけるよう、施設でもここまでの作業に4日から5日をかけます。(出典:公益財団法人 畜産技術協会メルマガNO.2 2006.1.31)
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9急速冷凍
個体管理のラベルを貼った後は、一気にマイナス40℃の世界へ。1時間ぐらいでカチンコチンです。急速冷凍することで、解凍した時もドリップが出にくくなります。
イノシシ肉には還元型コエンザイムQ10が多く含まれています
イノシシ肉やソーセージを検査してもらったら、還元型のコエンザイムQ10が多く含まれることがわかりました。この成分には一過性の疲労感を軽減させるのに役立つことが報告されたいたり、最近ではうつ状態が改善されるというような効果の報告もあります。まだまだ可能性のある食材です。